研究概要 |
これまで,1.磁性体リポソームの作成・評価と2.ハムスター骨肉腫からp53遺伝子の単離(RT-PCR)を行った. 1.磁性体カチオニックリポソームの磁気ターゲティング効果を調べるため,まず磁性体リポソームによる封入蛍光物質の集積性を調べた.等モル濃度のphosphatidylcholineとcholesterolより成るリポソーム内に,強磁性体であるマグネタイト微粒子と蛍光物質を逆相蒸発法により封入し,磁性体リポソームを作製した.これをハムスターの頚静脈より投与し,30分後の僧帽筋内蛍光物質濃度を測定し,磁場の有無による薬剤集積性を調べた.僧帽筋内蛍光物質濃度は背部(僧帽筋直上)に磁石を設置した群が設置していない群に比べ有意に高く(P<0.01),磁場による封入薬剤の集積が可能であった. 2.凍結させたハムスター骨肉腫組織をRNAaseフリーの状態で破砕後,acid guanidinium-phenol-chloroform法でRNAを抽出した.抽出したRNAをOlgodT法で逆転写酵素処理して,相補的なcDNAを合成した.これを鋳型として既知のハムスターp53遺伝子の塩基配列よりプライマーを設定後PCRを行い,cDNAを増幅させた.アガロースゲルを用いて電気泳動を行い,目的とするp53遺伝子のバンドを確認した. 今後,磁性体カチオニックリポソームを用いて,封入遺伝子の骨肉腫細胞への導入を行う.p53遺伝子を精製単離した後,PCR-SSCPで遺伝子変異を確認する.磁性体カチオニックリポソームを用いて,野生型p53遺伝子をハムスター骨肉腫に導入し,その増殖抑制効果を評価する予定である.
|