研究概要 |
日本白色家兎関節より培養した軟骨細胞を用いてin vitroの関節軟骨変性モデル作成を試みた。まず、細胞増殖能を[^3H]-Thymidine取り込み能を測定することによって評価した。アデノシンレセプターアゴニストの2Cl-adenosineを培養細胞に加えると、細胞増殖能が加えた2Cl-adenosineの濃度に依存して抑制された。次に、細胞傷害作用をMTT assayを用いて測定した。2Cl-adenosineは濃度依存性に培養軟骨細胞に傷害を与えた。これらのことよりアデノシンレセプターアゴニストは細胞増殖を抑制し、かつ細胞傷害作用を示すことが明らかとなった。続いてアデノシンレセプターのどのサブタイプがこの反応を引き起こしているかを調べるために各種アデノシンレセプターのアゴニスト(A1,A2a,A2b,A3)、及びアンタゴニストを用いて細胞増殖能や細胞傷害性を調べたが、どのSelective Agonistも2Cl-adenosineほどの強い効果は示さず、またどのアンタゴニストも2Cl-adenosineの作用を完全に押さえるには至らなかった。現在は次の段階であるアデノシンによる細胞傷害性のタイプ、即ち、この細胞傷害がアポトーシスである可能性を調べる研究を開始している。アデノシンレセプターのアゴニストを培養溶液中に加え、時間経過を追って細胞のアポトーシスを示すクロマチンの凝集を形態的に観察するとともに、ベーリンガー社の細胞アポトーシス検出キットを用い、DNAのfragmentationの程度を定量評価する。
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