われわれは、先に骨芽細胞に特異的に発現するとして単離した遺伝子(骨芽細胞刺激因子-1、osf-1)を過剰発現するトランスジェニックマウスを作出し、同遺伝子による同所的骨形成への影響を検証した。得られたOSF1過剰発現マウスは野生型に比較して骨塩量、骨密度、骨強度が増加し、卵巣摘除によるエストロゲン欠乏性骨粗鬆症モデルにおいて野生型Sham群と同程度の骨量を維持した。 osf-1を高発現するホモ接合体のトランスジェニックマウスのオスと、野生型のメス10匹を交配させて、ヘテロの仔を得、このヘテロのオスとメスを交配させて得た仔のうちメス108匹を実験に用いた。生後14週で半数に卵巣摘出術(OVX群)を、残り半数に偽手術(sham群)を行なった。OVX群のうち、トランスジーンを持つもの42匹持たぬもの11匹、sham群のうちトランスジーンを持つもの46匹持たぬもの9匹である。生後28週(手術後14週)で大腿骨を採取し、三点曲げにて、最大破断強度を測定した。三点曲げに際しては、万能試験機(島津オートグラフAG500、島津製作所)を用い、大腿骨全骨片に対し、支点間距離9mm、クロスヘッドスピード0.5mm/minで完全破断まで荷重を行なった。 破断強度/体重^2/3の値で比較したところ、sham群でトランスジーンを持つ群は持たない群に対して、増加の傾向をみとめた。(p=0.2175)これにより、ヒトosf-1を過剰発現するトランスジェニックマウスでみとめられた、骨量の増加が、力学的な質の改善にも関与している可能性が示唆された。
|