研究概要 |
新しい核磁気共鳴画像法である二量子フィルターNMR画像法を用いてアキレス腱修復過程の定量的評価を行うことを目的として研究を行った。 平成11年度はまず、家兎アキレス腱断裂モデルを作成した。モデルは静脈麻酔下に家兎右後肢のアキレス腱を鋭的に切離し、皮膚を縫合する。外固定を行わずにケージ内に戻した。これをアキレス腱断裂モデルとした。3,9,13,18経過後に各5匹家兎を安楽死させた後、損傷アキレス腱を周囲組織とともに切離し、試料にした。MRIにて損傷部を確認後、二量子フィルターNMR画像法を用いて撮像した。より詳細なデータを得るために、試料より損傷アキレス腱を摘出、二量子フィルターNMR信号を測定した。 3週では二量子NMR信号はほとんど検出できなかった。しかし、9,13,18週と成熟するにつれて、コラーゲン線維の量と配向性に関係する信号強度は高くなり、結合水の結合強度に関係するτ_<max>が短くなった。二量子フィルターNMR画像法を用いた画像では、3週では画像上修復腱からの信号を認めなかったが、9,13,18週と成熟するにつれて、画像上信号強度が増大した。従来のMRI画像では9週時の画像で修復腱の信号は検出できず、正常腱組織と区別できなかった。二量子フィルターNMR画像法では、展開時間を設定することで正常腱組織と損傷腱組織を明瞭に区別できた。 今年度は実験の進行が早かったため、基礎データをほぼ得ることができた。来年度は今年度得られたデータを解析し、損傷腱修復過程における結合水の変化をモデル化することを行う予定である。
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