研究経過 成熟ウイスター系ラットに腹腔内麻酔後、上部胸椎レベルで椎弓を切除し、同部で約2mmにわたり脊髄を鋭利に切除した。次いでラットを背臥位とし尺骨神経もしくは正中神経を剥離し、この末梢神経を損傷部近くの皮下トンネルを通して損傷脊髄の尾側に接触するよう逢着した。前年度は尺骨神経を用いて1週の段階で移植部を採取し組織学的検討を行い本年度の準備段階とした。本年度は昨年度の反省を踏まえ正中神経を移行の対象に加え操作手技の改良、技術の向上を目標とし、1週、2週、4週の各段階での移植部の組織学的検討を予定した。しかし手技の改良によっても安定したモデルの作製ができず、その多くが1週に達する以前の段階で死亡し評価の段階に達していない。原因としてうっ血による肺水腫が多く、外科的侵襲の影響が高いと考えられた。 ラットにあたえる外科的侵襲を考えると上部胸髄レベルでの脊髄の切断と正中神経、尺骨神経の移植は困難と判断し、年度後半からは胸髄損傷のレベルを上部から下部へ変更し、下部胸髄を切除したのち移植神経も肋間神経に変え実験モデルの作製をしている。本年度中は予定数週での組織学的検討は行っていない。
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