研究課題/領域番号 |
11671452
|
研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
多比良 克巳 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (00312322)
|
研究分担者 |
斎木 都夫 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (40215520)
都築 暢之 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (10049794)
|
キーワード | 脊髄損傷 / 末梢神経 / 軸索再生 / 神経移植 / 軸索環境 |
研究概要 |
1.実験モデルの作成 (1)モデル1.生後8〜10週齢のラットを使用し、片側上肢の肩から手関節レベルまで正中神経を剥離、手関節レベルで切離した。続いて上位胸椎レベルで椎弓切除を行い、脊髄を完全に切離し、この断端へ先に剥離、切離した正中神経を翻転し縫合した。術後1日から1週間で全例が死亡したため、本法による実験は困難と判断し中止した。 (2)モデル2.モデル1と同様に生後8〜10週齢のラットを、下位胸椎レベルで脊髄との連続性を保ったまま片側の肋間神経を2から3cm剥離し、遠位部で切離した。これより尾側の胸腰椎移行部で脊髄を展開し、採取した肋間神経と同側の脊髄半分を切離し半側脊髄損傷とし、脊髄切離部へ採取した肋間神経の断端を埋め込んだ。 2.検討方法 神経埋め込み術後3週、6週、3ヶ月で以下の項目につき検討した。(1)肉眼的観察(2)電気生理学的検討(3)病理組織学的検討を行った。 3.実験結果 (1)患肢の肉眼的観察 患側の後肢は術後には弛緩性の麻痺を呈し、各観察時期において明らかな自動運動は認めらなかった。(2)電気生理学的観察 肋間神経を展開し電気刺激装置で刺激した患側下肢の伸筋、屈筋から針電極により筋電図の導出を試みたが、筋電位は導出できなかった。(3)病理組織学的検討 移行した肋間神経は軽度の変性像を示し、また神経の断端部付近では神経腫様の所見と線維性肉芽の侵入を認めた。また脊髄は損傷による神経細胞の脱落や変性像が見られた。しかし、いずれの時期、標本でも肋間神経の明らかな脊髄内への軸索の伸長は認められなかった。 4.結果 健常なる末梢神経として脊髄との連続性を保った肋間神経を脊髄へ埋め込み、神経支配の再建を試みたが、今回の実験では肋間神経の脊髄への伸長は認められなかった。
|