研究課題/領域番号 |
11671457
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
蔡 詩岳 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (80183359)
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研究分担者 |
佐藤 吏 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90287243)
田中 孝昭 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80171768)
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キーワード | 癒着 / 架橋ヒアルロン酸ゲル / 細胞接着 / 関節手術 |
研究概要 |
本研究では、膜状に比べ、より操作し易いゼリー状の架橋ヒアルロン酸(HA)ゲルを使用し、外傷や手術後に発生する関節内癒着の防止効果について検討した。架橋ヒアルロン酸ゲルは、高純度のヒアルロン酸ナトリウムにケイ皮酸架橋基を導入した後に紫外線を照射し、ケイ皮酸架橋基同士を部分的に架橋させて調整した水和ゲルである。 家兎の膝関節を切開し、大腿骨顆部に5×10mmの軟骨下骨にいたる骨軟骨欠損部を作製する。術後は膝関節を3週間固定して、関節内癒着モデルを作製し、手術操作後に、膝関節内にヒアルロン酸ゲルを塗布し、術後3週での癒着防止効果を組織学的に検索した。その結果、架橋HAゲルを手術時に関節内に投与すると、術後、関節滑膜と連続する肉芽組織の発生が有意に防止され、関節内の癒着は明らかに抑制されることが判明した。 架橋HAゲルでチェンバースライドの全面あるいはZ状に一部分をコーティングした後、ヒト皮膚由来の線維芽細胞を各チェンバーに播種し7日間培養後に細胞の接着状態や増殖に伴う細胞の移動を経時的に観察した。 全面をコーティングした場合、細胞はHAゲル上には全く接着しなかったが、辺縁部のHAゲルでコーティングされなかった部分には接着し、伸展して紡錘形を呈していた。また、HAゲルでZ状に部分的にコーティングしたものでは、HAゲルの部分には細胞は接着しなかったが、培養を継続するとHAゲルのない部分のみがHAゲルに接触することが観察された。 ゼリー状に作製した架橋ヒアルロン酸ゲルは、細胞の基質への接着を阻害し、手術後に発生する癒着を防止するのに有用と考える。したがって、腱の手術後のみならず関節手術後にも生じる関節内の癒着の防止材としても臨床応用が可能であると思われる。
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