研究概要 |
1.ヒト骨芽細胞様細胞株MG63に対する細胞外ATPによる細胞増殖作用の検討:ATP100μMの添加により[^3H]thymidineの取り込みは対照群に対し約1.6倍に促進された。また、IGF-1(10ng/ml)添加により、[^3H]thymidineの取り込みは3.7倍に促進され、さらにATPの添加で相乗的に促進された。ATPは濃度依存性にDNA合成を増加させ、そのEC50は4.2μMで、一方、IGF-1存在下においては相乗的(EC50=5μM)に増加させた。 2.各種ATP受容体(P2X,P2Y受容体サブタイプ)のagonist並びにantagonistを用いてATPによる細胞増殖作用を検討した。ATP受容体agonist:ATPgS(主にP2X受容体agonist)は、[^3H]thymidineの取り込みを増強したが、abATP(主にP2X1,3 agonist)および、UTP(P2Y2〜7特異的agonist)は増強を認めなかった。ATP受容体antagonist:Suramine(P2x,P2Y受容体antagonist)、およびPPADS(主にP2X受容体antagonist)はATPによる[^3H]thymidine取り込みの促進作用を抑制したが、Reactive Blue(主にP2Y受容体antagonist)は抑制しなかった。 3.細胞増殖の促進に関わるATP受容体(P2X受容体サブタイプ)をRT-PCR法により特定した。MG63細胞にはP2X4,5,7受容体が発現していた。 4.Suramine(P2x,P2Y受容体Antagonist)、およびPPADS(P2X受容体Antagonist)はともにP2X4,6,7受容体には作用しないとの報告があり、今回の結果1、2、3と合わせると、細胞外ATPによる細胞増殖作用はP2X受容体のなかでもP2X5受容体を介していることが示唆された。
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