研究課題/領域番号 |
11671469
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
成澤 研一郎 産業医科大学, 医学部, 講師 (20269062)
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研究分担者 |
上園 保仁 長崎大学, 医学部, 講師 (20213340)
中村 利孝 産業医科大学, 医学部, 教授 (50082235)
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キーワード | ATP / ATP受容体 / MAPK / 細胞増殖 / MG63 / P2X受容体 / P2Y受容体 / PDGF |
研究概要 |
昨年度までの本研究で、1)ヒト骨芽細胞様細胞株MG63において細胞外ATPの投与はATP受容体のうちP2X受容体(P2X5受容体)を介して細胞増殖を促進し、P2Y受容体を介して細胞内Ca2+濃度の上昇を引き起こすことが示唆された。本年度は、細胞外ATPのこれらの作用に関して,セカンドメッセンジャーを中心とする細胞内伝達メカニズムを詳細に検討した。 1)MAPK(mitogen activated protein kinase)の測定:細胞増殖に最も関連している可能性があるMAPK活性をヒト骨芽細胞様細胞株MG63を用いてenzyme法およびIn-gel法で測定した。ATP添加によりMAP kinaseの活性は2倍に促進し、PDGF等の成長因子と共に添加すると、活性をさらに増強させた。 2)上記細胞に下記セカンドメッセンジャーinhibitorを前投与後、細胞外ATP(100μM)を添加し、[3H]thymidineの取り込み促進が抑制されるか否かを検討した。Ca依存性のprotein kinaseであるプロテインキナーゼCの阻害剤であるH-7とStaurosporine、Ca/CaM Kinase2の阻害剤であるKN-93、および受容体型TyrosineKinaseの阻害剤であるGenisteinでは、ATP添加による[3H]thymidineの取り込みの促進作用は抑制されなかった。細胞内非受容体型tyrosine kinase阻害剤のherbimycin AとMAPK阻害剤のPD98059はATPによる促進作用を抑制した。以上より、ATPはP2X受容体を介して細胞増殖を引き起こし、この作用にはMAP kinaseの活性化が関与していることが示唆された。
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