今年度は平成11年度中に作製に成功したニューロパチックペインモデルの安定性を高めることを第一の目的とした。すなわち麻酔下に腰椎椎弓切除術と片側第5、第6腰椎神経を結紮しその支配領域にアロディニアが生ずるのを確認していたが、今年度24匹のウイスター系ラットを用いて低レベル反応レーザー照射の効果の測定を試みたところ、第5、第6腰椎神経を双方とも結紮すると原因不明の理由で死亡するラットが多いことが判明した。問題を解決するために片側第5腰椎神経のみを結紮する方法で支配領域にアロディニアが生ずるかすなわちニューロパチックペインモデルが作製可能かどうか検討することにした。またラットの種類をSD系に変更することでより安定したモデルが作製可能かどうかも併せて検討した。変更後のモデルで温熱刺激を足底に加えたところ結紮側は非結紮側に比して約2秒程潜時が短い、すなわちアロディニアが生じていることが判明し測定用のモデルとして採用することにした。第2の目的としてこの変更したモデルの踵部に150mWで10分間の低レベル反応レーザー照射を行い潜時がどのように変化するか測定したところ潜時は短縮する傾向が認められた。さらに別のグループにおいて第5腰椎神経と関係した脊髄に対して150mWで10分間の低レベル反応レーザー照射を行ったところ潜時は短縮する傾向が認められたが左右同一にはならず低レベル反応レーザー照射が明らかに効果があるデータは得られなかった。
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