研究課題/領域番号 |
11671476
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
西川 俊昭 秋田大学, 医学部, 教授 (50156048)
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研究分担者 |
長崎 剛 秋田大学, 医学部, 助手 (60292380)
木村 哲 秋田大学, 医学部, 助手 (00312702)
田中 誠 秋田大学, 医学部, 助教授 (50236634)
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キーワード | 前脳虚血 / α2アゴニスト / デキサメデトミジン / 低体温療法 / 脳保護 / グルタミン酸 |
研究概要 |
ラット一過性前脳虚血モデルを用いてα2アゴニスト(デキサメデトミジン;以下Dex)と軽度低体温併用療法の脳保護効果を脳内グルタミン酸遊離に及ぼす影響から検討した。雄Sprague-Dawleyラット(300-400g)24匹をハロタンで麻酔導入後気管切開し、尾動脈(血圧測定・採血用)、右頚静脈(薬物投与、輸液、脱血用)にカテーテルを留置した。側頭筋に脳波電極および体温測定プローブを挿入した。脳定位的にグルタミン酸測定用酵素電極を海馬CA1に刺入した。ラットを対照(C)群(側頭筋温37.5℃+生食1ml/kg)、Dex(D)群(37.5℃+Dex3μg/kg)、低体温(H)群(35℃+生食1ml/kg)、およびDex+低体温(DH)群(35℃+Dex3μg/kg)の4群に分け、各群(n=6)において体温を所定の値に調節後、生食または薬物を脳虚血の30分前に皮下注した。両側頚動脈閉塞と脱血による低血圧(収縮期血圧45-50mmHg)により前脳虚血状態(平坦脳波)とし、10分後、両側頚動脈閉塞解除と返血によって脳の再灌流を行った。マイクロダイアリシスバイオセンサーシステム(EES-800)にて、前脳虚血開始から虚血1時間後まで脳内グルタミン酸濃度を測定した。すべてのラットにおいて前脳虚血開始とともに海馬CA1グルタミン酸濃度は上昇し、数分でほぼプラトーに達し、再還流開始により徐々に基線まで低下するという経過をたどった。横軸に時間、縦軸にグルタミン酸濃度をとったグラフにおける虚血開始から終了までのarea under the glutamate concentration curve (μM・sec)は、C群:8978±1379、D群:9873±3530、H群:4333±431、DH群:5047±566と、HおよびDH群がCおよびD群と比べ小さかった。結論として一過性前脳虚血に伴う海馬CA1領域のグルタミン酸濃度上昇は、低体温単独療法およびα2アゴニストと低体温の併用療法において抑制された。
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