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2000 年度 実績報告書

神経障害性がん性疼痛モデルの作成とその意義

研究課題

研究課題/領域番号 11671479
研究機関千葉大学

研究代表者

下山 恵美  千葉大学, 医学部, 助手 (10206253)

研究分担者 青江 知彦  千葉大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (90311612)
下山 直人  国立がんセンター, 中央病院, 医長
キーワードがん性疼痛 / 神経障害性疼痛 / 動物モデル / マウス / 疼痛過敏 / アロディニア
研究概要

1.BALB/cマウスの坐骨神経近傍にMeth-A sarcoma細胞を接種し、がん性神経障害性疼痛モデルを作成した。また、従来ラットで用いられている神経障害性疼痛モデルである坐骨神経絞約性モデルをマウスで作成し、本腫瘍モデルと比較検討した。
2.腫瘍モデルでは、神経障害は緩徐に進行し、腫瘍細胞接種後10日目に初めて、熱刺激に対する有意な疼痛過敏と機械的刺激に対するアロディニアを呈した。14日目には疼痛過敏はさらに進行したが、機械的刺激に対しては、逆に感覚鈍磨が出現した。
3.坐骨神経絞約性モデルでは、絞約後3日目には熱刺激に対する有意な疼痛過敏と機械的刺激に対するアロディニアを呈し、その後これらはほぼ同レベルで持続された。
4.両モデルにおける摘出坐骨神経を光顕及び電顕写真により比較検討した。絞約性モデルでは、激しい有髄神経の障害が見られ、これに比し無髄神経の障害は軽微であった。腫瘍モデルでは、有髄線維の障害は軽微で、無随線維に比較的強い障害を認めた。
5.神経障害性疼痛の発生機序に有髄線維のワーラー変性が関わっていることが提唱されているが、これは、絞約性モデルのように急性もしくは亜急性に神経障害を起こした研究の結果に基づくものであり、本腫瘍モデルのように緩叙に進行する障害では激しい有髄線維の障害なしに同様の症状が見られることがわかり、有髄線維のワーラー変性は必ずしも神経障害性疼痛の発生に不可欠ではないことが示された。
6.がんの神経圧迫による神経障害性疼痛の患者では、必ずしも機械的刺激に対するアロディニアを呈さず、疼痛領域の皮膚の知覚鈍麻を伴う患者も多い。本モデルは、このようながん性神経障害性疼痛を反映しており、今後のがん性神経障害性疼痛の機序解明や治療薬の開発に有用と考えられる。

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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