研究概要 |
250〜300gの雄のSprague-Dawley系ラットを用い,酸素・笑気・ハロセン麻酔下にて,気管切開,総頚動静脈カニュレーションの後,頭蓋内容を吸引して除脳した.第1, 2腰椎間で脊髄を横断し,腰部椎弓切除術を行い,人工呼吸にて一般状態を生理学的正常範囲内に維持した.微小電極を第7腰髄内に細胞活動のmodalityを確かめつつ,マイクロドライバーを用いて挿入し,脊髄後角単一細胞活動を細胞外微小電極誘導記録法において測定観察した. 受容野への刺激に対する単一細胞活動の反応様式により,低閾値機械的刺激受容細胞,特異的侵害刺激受容細胞,広作動域神経細胞(WDR神経細胞)を同定し,低閾値刺激受容細胞には受容野に非侵害刺激(brushing)を加え,特異的侵害刺激受容細胞と広作動域神経細胞には受容野に侵害刺激(pinch)を加えて細胞活動を観察し,対照値とした.ハロセン1.1%(1MAC)投与下,及び純酸素投与下に,一酸化窒素合成阻害薬であるL-NAME,一酸化窒素合成促進薬であるL-arginineを脊髄表面に直接投与し,細胞活動の変化を観察した. 前々年度までの結果では,低閾値機械的刺激受容細胞において,ハロセン1.1%(1MAC)投与下,及び純酸素投与下のどちらでも,L-NAMEの投与により単一細胞活動は変化しなかった.また,L-arginineを脊髄表面に直接投与しても単一細胞活動は変化しなかった.前年度は特異的侵害刺激受容細胞と広作動域神経細胞において同様の検討を行ったので,引き続き本年度も特異的侵害刺激受容細胞と広作動域神経細胞での結果と低閾値機械的刺激受容細胞での結果を比較検討していく予定である.
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