研究課題/領域番号 |
11671488
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研究機関 | 山梨医科大学 |
研究代表者 |
山口 敏昭 山梨医科大学, 医学部, 助手 (80242650)
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研究分担者 |
樫本 温 山梨医科大学, 医学部, 助教授 (60152633)
小口 健史 山梨医科大学, 医学部, 講師 (60201399)
熊澤 光生 山梨医科大学, 医学部, 教授 (10092404)
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キーワード | 静脈麻酔薬 / プロポフォール / 摘出心臓標本 / 筋小胞体機能 / 心機能 / 心筋代謝 / 蛍光色素法 |
研究概要 |
加齢による静脈麻酔薬の循環変化についてのメカニズムは十分に解明されていない。そこで、本研究は若・成熟・老齢ラットから摘出した心臓において、各種静脈麻酔薬が筋小胞体機能に与える影響を検討し、加齢による直接心筋作用の変化のメカニズムを解明することを目的とした。今年度で行った研究では、まずコントロールとして成熟ラットの摘出心臓において、主要な静脈麻酔薬であるプロポフォールとチアミラールの影響を比較検討した。その結果、チアミラール投与により心拍数と左室収縮能の有意な低下が認められたが、収縮期細胞内カルシウム濃度は影響を受けなかった。一方、プロポフォールは心拍数と収縮能に影響を示さず、細胞内カルシウム動態にも変化は認められなかった。このことから、成熟ラットにおいては、プロポフォールは心機能と心筋細胞内カルシウム濃度への影響が小さいが、チアミラールはミオフィラメントのカルシウム感受性低下により心機能抑制作用を示すことが示唆された。さらに、今年度において成熟ラットの虚血心臓においてもプロポフォールとチアミラールの影響を比較検討した。その結果、虚血再灌流時の細胞内カルシウムの増加をチアミラールは用量依存性に抑制した。これに対しプロポフォールは有意な影響を示さなかった。心臓の虚血再灌流障害には細胞内カルシウムの増加が関わっているとされており、チアミラールは再灌流障害に対して保護的に働く可能性が考えられた。しかし、再灌流後の心機能抑制が強く、実際の臨床では使いにくいと考えられた。今後の研究の展開としては、成熟ラットに加えて幼若と老齢ラットのデータ数を増やして各種静脈麻酔薬がもつ直接心筋作用の加齢による変化を筋小胞体の機能の面から解明する。また、静脈麻酔薬は人工心肺使用時に使用されることが多いため、加齢と心筋虚血との関わりについても心筋細胞内の筋小胞体機能の面から検討を進める予定である。
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