研究概要 |
手術侵襲・重傷膵炎・外傷・熱傷・ショック敗血症などの様々な侵襲に対して引き起こされる過剰な生体反応の背景には高サイトカイン血症が存在する。神経・免疫・内分泌の連関が一連のストレス反応の基礎に存在すると考えられるが、それを担う細胞の反応をレドックスの観点から捉え、レドックスシグナルとリン酸化を中心とした従来のシグナル系のクロストークの重要性を明らかにすることが本研究の目的である。 本年度は、実験計画にのっとりヒト臍帯血管内皮細胞、ラット胎児心筋の一次培養系を確立した。それらに加えリンパ球・線維芽・血管内皮・神経由来の細胞株を各種chemical mediators(TNFa,IL-1b,IL-6)、LPS、PKCの活性化剤であるPMA,NO(nitric oxide)donorなどで処理し、蛋白質の発現をWestern blotingにより、mRNAの蓄積状況をNorthern bloting、RT-PCRにより、目的遺伝子の転写状況をルシフェラーゼを用いたreporter assayを用いモニターする実験系を確立した。これら遺伝子の発現に共通に関与すると考えられているリン酸化酵素mitogen-ativated protein kinase(MAPK)の活性化状態を基質特異性を利用したin vitro kinase assayと活性化型ERK、SAPK、p38MAPKを特異的に認識する抗体を用いたWestern bloting法で検出する系を確立した。thioredoxin,glutaredoxin,Cu/Zn superoxide dismutaseの細胞内発現プラスミドの細胞内導入の実験系を確立した。 来年度も実験計画にそって計画を継続する予定である。
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