研究課題/領域番号 |
11671499
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
平川 方久 岡山大学, 医学部, 教授 (70033058)
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研究分担者 |
赤木 玲子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教授 (50150967)
溝渕 知司 岡山大学, 医学部, 助手 (70311800)
高橋 徹 岡山大学, 医学部, 助手 (40252952)
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キーワード | 吸入麻酔薬 / 肝障害 / イソフルラン / ハロタン / HSP70 / ヘムオキシゲナーゼ-1 / ストレス蛋白 / 低酸素 |
研究概要 |
吸入麻酔薬イソフルランはハロタンに比べて、有害中間代謝産物の産生量が少ないこと、肝血流量を良好に維持することから、肝毒性の小さい吸入麻酔薬であると考えられている。したがって、イソフルランは、肝移植のような肝への虚血侵襲が頻回に起こる大手術において使用することが推奨されている。また、上腹部手術においては、手術侵襲によって総肝血流量が正常時の60%にまで減少することがよく知られている。しかしながら、低酸素下での吸入麻酔薬の肝毒性については未だに完全には解明されていない。本研究では、ラットに低酸素下に吸入麻酔薬イソフルランあるいはハロタンを投与したときの、肝ヒートショックプロテイン70(HSP70)及びヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)の発現を比較検討した。フェノバルビタール前処置ラットではHSP70の誘導は、イソフルラン、ハロタン投与の両者で認められ、その発現の強さはイソフルランがハロタンに比べて小さかった。また、肝障害の程度はHSP70と同様にイソフルランがハロタンに比べて軽度であった。HO-1の発現はハロタン投与においてのみ認められた。一方、無処置ラットでは両麻酔薬によりHSPの誘導も肝障害も見られなかった。以上より、両麻酔薬の肝障害とHSP誘導に及ぼす効果は異なることが示された。また、イソフルランはハロタンに比べて安全性の高い吸入麻酔薬であることが知られているが、その一因としてイソフルランがハロタンに比べて酸化的ストレスが小さいことが考えられる。
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