研究課題/領域番号 |
11671499
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
平川 方久 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70033058)
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研究分担者 |
赤木 玲子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教授 (50150967)
溝渕 知司 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70311800)
高橋 徹 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40252952)
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キーワード | 吸収麻酔薬 / 肝障害 / CYP2E1 / 四塩化炭素 / HSP70 / 酸化的ストレス / CYP2E1遺伝子導入細胞 / チトクロームP450 |
研究概要 |
吸入麻酔薬による肝障害はまれであるが、その発生を予期できないこと、また、一旦発症すると劇症肝炎になる可能性があることから、臨床的に大きな問題である。吸入麻酔薬の肝毒性には肝の薬物代謝酵素:チトクロームP450、特にそのアイソザイム2E1(CYP2E1)を介して産生される毒性中間代謝産物がその病態に大きな役割を果たしている。我々はこれまで、ラットモデルを用いて、吸入麻酔薬の肝毒性について検討してきた。しかし、ラット肝障害モデルは吸入麻酔薬による呼吸・循環抑制の影響を考慮しなければならず、また、動物種がラットであるためヒトの肝障害を直接反映しているとは言い難い。一方、四塩化炭素は、吸入麻酔薬と同じくハロゲン化炭素であり、その毒性はCYP2E1を介して生成されるラジカルによる脂質過酸化に由来すると考えられている。そこで、本研究では、ヒトの吸入麻酔薬による肝障害のメカニズムを明らかにするために、CYP2E1遺伝子を導入した肝細胞(HLE/2E1)を用いて四塩化炭素の毒性を非導入細胞(HLE)と比較検討した。その結果、四塩化炭素の細胞毒性は、CYP2E1導入細胞で非導入細胞に比べて有意に増加した。また、酸化的ストレスの指標として用いたHSP70 mRNAの発現はCYP2E1導入細胞で非導入細胞に比べて著しく増加した。以上の結果より、CYP2E1導入細胞における四塩化炭素の毒性には、CYP2E1を介する酸化的ストレスが大きな役割を果たすことが示唆されるとともに、CYP2E1導入細胞が吸入麻酔薬の毒性を検討するためのモデルとして有用であることが示された。
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