lipopolysaccharide(LPS)が賦活する細胞内情報を伝達する物質として最も重要なtyrosine kinaseの阻害が敗血症性ショックの進展を防ぐと考え、tyrosine kinase inhibitorであるtyrphostin AG-556(TYR)のラットのショックに対する効果を検討した。(方法)実験1:全ての実験はエーテル麻酔下で行なわれた。200-250gのviral antibody freeのLong Evans ratを用いた。実験群は、1)mediaのみ、2)media+TYR(5mg/kg)、3)LPS(12mg/kg)のみ、4)LPS+TYRであった。LPS及びTYRは同時に投与し、生存時間及び、生存率について48時間観察した。実験2:TYRを前投与し、その2時間後にLPSを静注した。LPS投与後4時間後にラットの下大静脈より採血し、血清を分離し、プロスタサイクリンの最終代謝産物である6-keto PGF_<1α>および、TNF_αをそれぞれ、RIAとbio assayで測定した。(結果)control群は48時間以上生存した。生存時間がLPS群の6±1時間から、TYR投与で13±1時間に有意に延長した。実験2:6-keto PGF_<1α>はLPS投与でcontrolの58±58(pg/ml)から15196±3589(pg/ml)に賦活されたが、TYR投与で、3373±697(pg/ml)に低下した。TNF_αも測定限界以下から167±64(pg/ml)に賦活されたがTYR投与で、測定限界以下に低下した。(結論)TYRはendotoxin shockの生存時間を著明に延長し、その作用機序にショック時のメディエータ産生の抑制が強く示唆された。
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