現在麻酔に使用される吸入麻酔薬・静脈麻酔薬・局所麻酔薬以外に、鎮静・鎮痛作用を持ち麻酔に使用されている補助薬としてα2アゴニストがあり、現在clonidineが臨床使用されている。dexmedetomdine(DEX)はclonidineよりもより選択的なα2アルゴリズムであり、その薬理作用に注目が集まっている。しかし、DEXの血管平滑筋に対する作用については十分な検討が行われていない。我々は、胃切除術の際に同時に摘出される大網から胃大網動脈標本を作成し、等尺性収縮を測定することによりDEXの血管平滑筋における作用を研究した。臨床使用濃度ではDEXはそれ自身では収縮を発生させず、またnorepinephrine(NE)、高K溶液で発生させた収縮に何ら影響を及ぼさなかった。臨床濃度以上の高濃度(10μM)ではDEX自身でわずかな収縮を発生し、高K溶液による収縮を増強させたが、NEによる収縮は抑制した。これらの結果から、DEXは臨床的には人血管に影響を及ぼさないが、膜電位依存性のCa流入促進作用とアドレナリン受容体遮断作用を持つことが分かった。 また、敗血症時には心拍出量は増加するが、内臓血流が低下することが知られている。この内臓血流の低下を防止するためにphosophodiesterase IIIの阻害薬であるolprinoneが使用されているが、その肝臓血流に対する効果は直接には検討されていなかった。我々はブタにエンドトキシンを投与して敗血症性ショック状態を作り、olprinoneの肝臓血流に及ぼす影響を研究した。Olprinoneは門脈血流量を選択的に増加させ、肝臓への酸素供給量を増加し、臓器虚血の指標である乳酸を低下させ、敗血症性ショック時の内臓血流を維持することが分かった。
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