研究課題/領域番号 |
11671512
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
小田 利通 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (90041342)
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研究分担者 |
垣花 泰之 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 助手 (20264426)
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キーワード | 肝動脈血流量 / 門脈血流量 / 肝酸素化状態 / エンドトキシン / 肝うっ血 / 近赤外分光法 / 肝灌流モデル |
研究概要 |
本研究は、肝動脈と門脈系を個々に灌流した肝灌流モデルを作成し、病態下における肝臓への酸素供給特性(肝動脈と門脈由来の酸素供給の相互関係)を明らかにし、その治療法を検討することである。本年度は、我々が作成中の肝灌流モデルの正当性を評価するための予備実験として、神経および液性調節能が維持されているin vivoモデルを用いて病態下(エンドトキシン投与)における肝動脈、門脈血流および肝酸素化状態の変化を検討した。 〈方法〉SPFブタ12頭を用いて実験をおこなった。門脈よりエンドトキシン(ET)を1.7μg/kg/hで投与し肝動脈、門脈血流量、門脈血酸素飽和度、肝静脈血酸素飽和度、乳酸値、肝の酸素化状態を検討した。肝血流量の測定は肝動脈と門脈へ装着した超音波血流計で、また、肝組織内酸素化状態は肝表面に装着した近赤外分光法によりおこなった。〈結果および考察〉150分間のETの持続投与により門脈血流量は509±195ml/minから198±79ml/minと持続的な減少を示した。一方、肝動脈血流量は、特徴ある三段階の変化を示した。まず、ET投与開始により肝動脈血流量は有意に減少し(第一段階)、投与開始90分後には有意な増加(肝動脈緩衝反応と思われる)に転じ(第二段階)、150分後には再び有意な減少を示した(第三段階)。第二段階の肝動脈血流量の増加にともない酸素化型Hbは減少から上昇に転じ、同時に還元型Hbも上昇した。これは肝鬱滞の発生を示唆するものであった。我々の結果から考察すると、エンドトキシン血症時の肝動脈血流量の増加は、肝鬱血の誘因になる可能性が示唆された。 次年度は、本年度に得られたin vivoの結果をもとに、肝動脈と門脈系の双方から灌流できる肝灌流モデルを作成し、エンドトキシン投与による肝鬱血の発現と血流量の関係を明らかにするとともに、その治療法を検討するつもりである。
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