【目的】Ascorbic acid(AA)は脳細胞内に高濃度存在し主なantioxidantであるが、その濃度によりpro-oxidantとして作用する可能性やglutamateとの相互作用も報告されている。脳虚血-再潅流による変化をin vivoで測定した報告は見当たらないため、AAの細胞外遊離をmicrodialysis biosensorを利用して測定する方法を検討した。次いでglutamateとAAの細胞外遊離を同時に測定し、AAとglutamateの相互作用を検討した。またfree radicalとしてnitric oxide(NO)の関与をNO synthase inhibitoeを投与して検討した。 【方法】Wistar系ラットを対象とし、前脳虚血-再潅流モデル(10分虚血後再灌流)in vivoで測定した。AAの測定はmicrodialysis biosensorを左右の線条体に挿入し、右biosensor内のPt作用電極のAAによるoxidation signalとO-phenylenediamineでcoatingした左biosensorのsignal(ascorbate oxidaseを灌流)との差とした。またbiosensorを左右の海馬に挿入し、AAとglutamate(glutamate oxidaseを灌流)の細胞外遊離を同時に測定した。更にNO synthaseのinhibitor(L-NAME)の前処理後glutamateの細胞外遊離をcontrolと比較した。 【結果】1.AAはbaseline79.0μMより再灌流後Max223.2μM迄上昇し、再灌流後30-40分でbaseline値、その後60分迄徐々に減少した。再灌流後はAA以外のcompoundsによる影響がないため、一般のbiosensorのoxidation signalによりAAが検出できる。 2.Glutamateが再灌流により著減した後にAAが著増することから、glutamateとAAのheteroexchangeが示唆された。虚血時間の延長により再灌流後のAA遊離が抑制され、glutamateのre-uptakeが障害されることから、AAによるNMDA受容体抑制作用も示唆された。 3.NO synthaseのinhibitor(L-NAME)の前処理でglutamateのre-uptakeが抑制されることから、radicalの関与も示唆された。
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