平成11年度はiNOS誘導による張力低下およびcGMP産生に及ぼす低温の影響を検討した。 1)内皮除去を行なったラット摘出大動脈の輪状標本を95%O_2、5%CO_2混合ガスを送気した37℃Krebs Ringer液中においてIL-1β(20ng/ml)を5時間曝露することによって、KCl、およびフェニレフリン(PE)の収縮作用は著明に低下した(p<0.01)。また、組織内cGMP濃度も著明な低下を示した(p<0.01)。 2)上記と同様に27℃の低温で5時間処置した後に、37℃においてKCl、およびPEの収縮反応を観察した。37℃Krebs Ringer液中においてIL-1β(20ng/ml)を5時間曝露することによるKCl、およびPE収縮力の低下は27℃の低温処置により有意に抑制された。(p<0.05)。さらに、37℃暴露において低下した組織内cGMP濃度は27℃の低温処置により有意に抑制された(p<0.05)。 3)1)2)において最大収縮が得られた後、NO合成阻害薬であるN^G-L-nitro-arginine(L-NA)を適用した結果、収縮力はIL-1βを曝露していないコントロール標本と同様のレベルに回復した。 4)以上の結果より、摘出血管平滑筋組織において、IL-1β曝露による収縮力の低下はiNOSが誘導されることによるNO産生の増加のためであることが明らかとなり、このNO産生増加は低温により抑制されることが示唆される。
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