エンドトキシンショック時の血管平滑筋弛緩と低血圧機序に誘導型一酸化窒素(NO)合成系を介したNO過剰産生とともに誘導型heme oxygenase(HO-1)による一酸化炭素(CO)過剰産生の関与が示されてきた。in vivoにおける相互関連は不明であり、本年度は、それぞれの合成阻害剤による相互作用につき検討した。ラットを用い、ペントバルビタール麻酔下にLPS(10mg/kg)を投与しエンドトキシンショックモデルを作製した。LPS投与時の治療にコントロール(LPS)群、iNOS阻害薬であるL-canavanine 20mg/kg投与(CAN)群、HO阻害薬であるzinc protoporphyrin 0.1 micromol/kg投与(ZPP)群の3群に分類した。LPS投与後経時的に循環動態の変化とともに、electron spin spectrometerによるnitrosyl hemoglobin(NO-Hb)測定とオキシメータ法によりcarboxyhemoglobin(CO-Hb)を測定した。LPS群では時間経過とともに血圧の低下を認めたが、CAN群およびZPP群では有意に血圧が保たれた。LSP群ではNO-HbおよびCO-Hbが時間経過とともに検出された。LPS投与6時間後にCAN群ではLPS群に比してNO-Hbの産生は有意に抑制されたが、CO-Hbには影響しなかった。また、ZPP群ではCO-Hbの産生は有意に抑制されたが、NO-Hbには影響しなかった。エンドトキシンショックにおいてはNO産生系とCO産生系抑制はともに有用である。致死的な重症モデルにおいては、in vitroでの報告と異なり、それぞれの合成阻害薬から推察される低血圧機序の相互作用は認められなかった。さらに、酵素遺伝子発現レベルでの相互関連を検討中である。
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