これまでの成果について日本麻酔科学会第48回大会での教育講演、救急医学7月号で発表した。コンピューターソフトをこれまでのMS-DOS形式からWindows形式にするため2台のコンピューターの購入を行い、各々肝静脈血酸素飽和度と混合静脈血酸素飽和度を測定するモデルをつくった。ソフトウエアの購入も行った。手術患者9名に肝静脈カテーテルを挿入し、GST-αと一酸化炭素の測定を行った。肝静脈血酸素飽和度が救急集中治療患者のどの疾患に適応になるかを研究するため、ひきつづき救急集中治療関係の書籍の購入を行った。今年度は特に肝静脈血酸素飽和度が30%以下になる時点で調べた。肝静脈血酸素飽和度とGST-αの関係はR^2=0.16でこれまでの結果よりも低い値であった。これは肝静脈血酸素飽和度が低下しても1分以上その値のままにとどまることは少なくばらつきが多くなったためと推測された。一酸化炭素の測定を同時におこなった。症例は6例であった。1.5〜6mlを肝静脈から採血し、解離剤でHbをsulf Hbにし、gas chromatographyで分離した。検出、同定はmass spectrometerでおこなった。肝静脈血酸素飽和度とCOHbの関係は肝静脈血酸素飽和度30%以下の部分ではR^2=0.007で、前回よりばらつきが大きかった。肝手術中に血液中また肝表面に置いたプローブから一酸化窒素を測定する試みを行ったが一定の値に安定せず動物実験で確かめることとした。別にSIRS患者で手術室に搬送された症例で肝静脈血酸素飽和度、GST-α、一酸化炭素を肝静脈血で測定した。肝静脈血酸素飽和度とGST-αは肝静脈血酸素飽和度が30%以下の状態でR^2=0.12、COHbとは肝静脈血酸素飽和度30%以下の状態ではR^2=0.01であった。一酸化炭素の肝類洞への作用はばらつきが大きく、これは患者がSIRSのためかSIRSの基礎疾患の違いによるものかはっきりせず課題を残した。このため動物敗血症モデルの確立が不可欠と考え、基礎実験においてもコンピューターを駆使したデータ収集systemを構築中である。
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