1)モデルの作成 精神分裂病は、神経伝達物質であるドーパミン神経系の機能亢進がその本態とされ、ハロペリドール等のドーパミン受容体拮抗薬が治療に用いられている。また、NMDA受容体拮抗薬には、異常運動誘発作用(ラット、マウス)や精神異常誘発作用(ヒト)があり、精神分裂病との関連が示唆されている。ドーパミン系はフェンサイクリジン、MK801等のNMDA拮抗薬の作用によって活性化され、このことが、異常運動誘発作用の原因ではないかと考えられている。それらのドーパミン系の中でも腹側被蓋野から側坐核へ投射する、中脳辺縁系ドーパミン路は精力的に調べられている。そこで、NMDA受容体拮抗作用があるといわれる麻酔科領域で使われる薬(ケタミン等)が、中脳辺縁系ドーパミン路にそれぞれ、どのような影響を与えるかを検討する。雄ウィスターラット(250-300g)を用いて、paxinos & Watsonの脳マップとラット用脳固定器を用いて位置決めを行い、側坐核にマイクロダイアリシス用のガイドカニューレを埋め込み、回復を待つ。その後、ガイドカニューレからマイクロダイアリシス用のプローブを挿入しリンゲル液による透析をおこなうというモデルの作成に成功した。 2)透析液中のドーパミン含量の測定 透析液を、酸化による分解を受ける前に、高速液体クロマトグラフィー、電気化学検出器による分析系に注入する、この際、今年度の経費に計上されている、マイクロダイアリス用のオートインジェクターにより、ドーパミンの測定が可能となった。
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