ラット側坐核におけるドーパミン放出に及ぼす種々の麻酔薬の作用 マイクロダイアリシス法を用いて、NMDA受容体拮抗作用を有する静脈麻酔薬ケタミンと、対照としてGABA_A受容体活性化作用を有する静脈麻酔薬ペントバルビタールの、ラット側坐核ドーパミン放出に対する作用を検討した。 方法)雄ウィスターラットを以下の5群に分けた(各群n=5)。ペントバルビタール麻酔下にガイドカニューラを側坐核に挿入し、2日後にマイクロダイアライシスを施行し、ドパミン測定を行った。ラットは自由に動ける状態にし、20分毎に3時間サンプリングを行い、基線の安定が見られたところで、以下の薬を投与した。 1.ケタミン50mg/kg腹腔内投与。 2.ケタミン100mg/kg腹腔内投与 3.ペントバルビタール25mg/kg腹腔内投与。 4.ペントバルビタール50mg/kg腹腔内投与。 5.同量の生食を腹腔内投与(コントロール群)。 その後も、20分ごとに灌流液のサンプリングを続け、ドパミン測定を行った。 結果)ケタミン100mg/kg及びペントバルビタール50mg/kg腹腔内投与により、すべてのラットが不動化した。生食群では、ドパミン放出の有意な増加は認められなかった。ケタミン投与群では、投与量依存性にドパミン放出は有意な増加を示した。ケタミン100mg/kg投与群では、最大の増加は投与60後に見られ、投与前値に比べて約2.5倍に増加した。一方、ペントバルビタール群では増加は見られず、逆に、投与量依存性に有意に低下した。 考察)静脈麻酔薬により、側座核ドーパミン放出に対する作用が異なることが示された。ケタミンによる精神異常誘発作用や神経細胞障害にはドパミン受容体の関与があることが考えられた。
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