研究概要 |
ラット腎臓を用いてフルクトースを主に輸送する細胞膜糖輸送体GLUT5の局在の検討をおこなった.RT-PCR法により,ラット腎臓の髄質外帯にGLUT5のトランスクリプトが検出された.また抗GLUT5抗体を用いたイムノブロットにより,ラット腎ホモジェネートにおいてバンドが検出されたが,小腸のそれとは分子量が異なった.N-グリコシダーゼ処理により小腸,腎臓ともに見かけの分子量は減少し,同一の分子量となった.これは腎臓に小腸とはグリコシレーションの程度を異にするGLUT5蛋白質が存在するのを示している.免疫組織化学的には,通常のホルムアルデヒド固定では検出が困難なので,固定処理に有機培養処理を組み合わせた方法を確立し,安定してGLUT5の検出ができるようになった.GLUT5は主に腎髄質,しかもその外帯層(outer srtipe of outer medulla)に局在した.レーザー共焦点顕微鏡法を用いた観察等により,GLUT5は,近位尿細管のS3セグメントの頂部刷子縁に局在するのが判明した.ナノゴールド法を適用したプレエンベッディング免疫電顕法により,GLUT5はS3近位尿細管細胞の頂部微絨毛膜に局在するのが明らかとなった.
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