研究概要 |
我々は,ヒトPGトランスポーター(以下PGT)cDNAをHeLa細胞(子宮頚癌細胞)に導入した安定発現細胞を作製した。 今回シクロペンテノン型PGのPGTへの親和性を測定したが,比較的高い親和性の値(1.5uM程度)が得られ、シクロペンテノン型PGはPGTによって細胞内に取り込まれる可能性があることが示唆された。 そこで,様々な濃度(2uM,5uM,10uM,20uM,50uM)のシクロペンテノン型PGのPGA1により,PGT安定発現細胞(HeLa細胞)が,発育抑制または細胞死となるか,フローサイトメトリーなどで観察した。コントロールとして逆向きのPGTcDNAを導入したHeLa細胞を用いた。 結果は,PGA1の濃度が20uM以上で,PGT安定発現細胞とコントロールのHeLa細胞ともに,細胞分裂G1期にて細胞死が確認された。 PGTが発現していないコントロールのHeLa細胞も細胞死したこととシクロペンテノン型PGのPGA1のPGTへの親和性が1.5uM程度であることから,PGTへの親和性よりかなり高濃度の20uM以上で細胞死が観察されたという事実はPGT以外のトランスポーターが存在する可能性を示唆している。 今後は,生理的にPGTが多く発現している肺細胞と腎細胞の癌細胞をもちいて,シクロペンテノン型PGの抗癌作用についてとその細胞におけるトランスポーターの発現を確認していく予定である。
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