人尿中に排泄されるOxalate(Ox、蓚酸)の主なものは、代謝性で約80〜90%と言われている。代謝性蓚酸生成関連酵素、特にGlycolate(Glyco)からのGlyoxylatc(Glyox)生成及びGlyoxからOx生成の両方に関与するとされているGlycolate Oxidase(GO)の役割について調査した。GOは、Glyco存在下ではGlyoxの生成が主であり、Ox生成はほとんど認められなかった。このGOをブロックできれば、Ox生成におけるGOの役割の解明に有効と考え、そのinhibitorとしてDL-2-Hydroxy-3-Butynoic Acid(HBA)を使用した。まず、in vitroでのHBAの阻害効果では、阻害定数2x10^<-5>Mとさほど強いinhibitorではないが、0.6mMの濃度で約90%の阻害がかかることがわかった。そこで、Wistar ratにHBAを経口投与し、Ox前駆体であるGlyco、Glyoxを経口投与し、尿中Ox排泄量およびHBAがこれらに及ぼす影響を調べた結果、1)HBAを経口投与した結果、肝内GO活性は低下したが、尿中Ox排泄量は減少しなかった。2)HBA投与群に大量のGlycoを経口投与した場合、尿中Ox排泄量は増加したが、HBA非投与群と比較すると、肝内GO活性の低下に伴って尿中Ox排泄量も有意に減少していた。3)HBA投与群に大量のGlyoxを経口投与した場合、尿中Ox排泄量は増加し、HBA非投与群と比較して、肝内GO活性の低下に伴う尿中Ox排泄量の減少は認められなかった。4)以上よりGOは、通常の代謝状態ではOx生成にはほとんど関与せず、過剰なGlyco存在下においてのみGlyoxyへの代謝に主に関与し、GlyoxyからOxへの代謝にはほとんど関与しないことが示唆された。以上の結果を報告した。
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