研究概要 |
哺乳類における内因性蓚酸(Ox)生成の最終段階は、肝臓においてGlycolate(Glyco)から十分な酸化によりGlyoxylate(Glyox)を経由してOxが生成されると考えられている。また、D, L-2-hydroxy-3-butynoate(NaHBA)は、GlycoからGlyoxへの酸化酵素であるGlycolate oxidase(GOD)の不可逆的な阻害剤である。そこでわれわれは、肝でのGOD活性をNaHBAで阻害することにより、ペルオキシゾーム内酵素であるGODのOx生成における役割について検討した。10mgのNaHBAをWistar ratに経口投与し、24時間後の肝でのGOD活性の変化と尿中GlycoおよびOx排泄量について測定した。NaHBA投与後、肝のGOD活性はすぐに約20%に低下し、その後徐々に回復し、約12時間でもとの50%となった。NaHBA投与後、24時間尿中Glyco排泄量は投与前の4倍となるものの、尿中Ox排泄量に関してはほとんど変化を認めなかった。Oxの前駆物質であるGlyco投与においては、NaHBA投与により尿中Ox排泄量は約50%低下したが、Glyox投与ではその影響は認められなかった。これらの結果より、通常状態においては、NaHBAによる部分的なGOD活性の阻害では尿中Ox排泄量にはほとんど影響は認められず、Glycoからの内因性Ox生成はわれわれが思っていた以上に少ないことが示唆された。
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