研究概要 |
Retinoidは、retinoid関連レセプターであるretinoic acid receptor(RAR)やRXRを通じて、細胞の増殖、分化の制御を行っている。また、RXRは、他のホルモンレセプター系のaccessary factorとして働く可能性もあり興味深い。RXRの発現は、乳がん、肺がん等で報告されている。ヒト前立腺腫瘍におけるRAR,RXR発現について明らかにするため、(1)RAR,RXR-α,β,γポリクロナール抗体を用いて、前立腺肥大症15例、前立腺がん15例について、免疫組織化学的解析,(2)前立腺がん細胞株(PC-3,LNCaP)でのRAR,RXR-α,β,γのmRNAの発現解析を行った。前立腺肥大症では、全例、主として基底細胞を中心にRAR,RXR-α,γの発現が、前立腺がんでは、80%の症例でheterogenousなRAR,RXR-α,γの発現が認められた。前立腺肥大症腺上皮細胞およびがん細胞でのRAR,RXR-βの発現は、まれであった。前立腺がん細胞株においても、RAR,RXR-α,γの発現が認められたが、RAR,RXR-βの発現は認められなかった。Retinoidが、RAR,RXR-α,γを通じて、前立腺正常細胞あるいはがん細胞に作用している可能性が示唆された。RAR,RXR-βの役割について、更に解明する必要があると考えられた。
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