研究課題/領域番号 |
11671550
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
岡田 裕作 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20127062)
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研究分担者 |
金 哲将 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (10204968)
吉貴 達寛 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80230704)
岡本 圭生 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (50303780)
新井 豊 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (90151141)
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キーワード | 精巣腫瘍 / 倍数体 / X染色体 |
研究概要 |
精巣腫瘍は好発年齢が20-40歳の青壮年男子であること、化学療法の進歩にも関わらず未だ非治癒症例も少なからず存在するなどから、その社会的な影響が極めて大きい悪性腫瘍と考えられる。しかしながら、精巣腫瘍の分子遺伝学的発生メカニズムについてはこれまで明確な癌遺伝子、癌抑制遺伝子の同定がなされていないのが現状である。われわれは精巣腫瘍の核型分析において二倍体、三倍体といった異数体が高頻度にみられることより染色体コピー数の増加と精巣腫瘍の発生という点に着目し、特にX染色体に主眼をおいて研究を展開した。その結果、X染色体上にクラスターとして存在するCancer Testis antigensの発現は精巣腫瘍においては腫瘍抗原ではなく、むしろ胚細胞発生過程の分化抗原として機能していることを明らかにした(Yusasa et al.,J Urol in press)。またKlenefelter syndromeに発生した小細胞癌の細胞株を樹立しKlinefelter syndromeの腫瘍発生メカニズム解析の為の重要な研究材料を得た(Kim et al.,Prostate.2000)。一方、Xq27上に家族性精巣腫瘍の候補遺伝子座(TGCT1)がXq27にマッピングされたことは精巣腫瘍発生におけるX染色体の関与をいよいよ決定づけるものである。しかし、X染色体には正常女性核型XXにみられるようにXISTを介したX染色体不活化機構が存在しcounting mechanismによる余剰Xの不活化というユニークな機能が存在する。このことよりX染色体におそらく存在すると思われる精巣胚細胞腫瘍の感受性遺伝子がgene dosageにしたがって働く癌遺伝子的分子なのかまた癌抑制遺伝子的分子であるのかは極めて興味深い問題点であると考え精巣腫瘍の余剰Xに対してX染色体の不活化機構が腫瘍発生にどう関与するかについても検討中である。
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