研究概要 |
前立腺癌の遺伝子治療に関するpreclinical studyとしての最適な動物実験系とその評価法を確立することを目的として、前立腺の腫瘍サイズの経時的なモニタリングのためにマウス経直腸的超音波断層法を導入し、あわせてその妥当性を検討した。 1 マウス前立腺癌同所移植モデルの作成:マウス由来前立腺癌細胞(RM-1,2,9:Baylor医科大学Thompson博士より供与)を用いて同種マウスであるC57B6マウスの前立腺に移植し腫瘍を生着を確認した。実験に伴う動物の死亡率は極めて低率であり、再現性は良好であるとともに、生着した腫瘍のサイズも一定していた。 2 経直腸的マウス前立腺エコーによる前立腺腫瘍計測法の確立:腫瘍の生着を経直腸的マウス前立腺エコーを用いて確認するとともにその妥当性の評価のため摘出標本と計測上の重量の相関を検討した。その結果、超音波による前立腺を含めた骨盤内臓器の検出は可能であり、生着した腫瘍の検出可能最小径は4mmであった、計測上の予想重量と摘出重量は良好な相関を示すことが確認された。 3 マウス前立腺癌同所移植モデルを用いた治療実験。:上記システムを用いて実際の治療実験を行い、治療モニタリングにおける有用を検討した。まず抗癌化学療法剤であるCis-platinumの前立腺癌に対する治療効果を検討したが、経時的な腫瘍重量の計測は可能であることが確認された。撮像と計測に要する時間も症例を重ねると伴に短縮され、また麻酔を用いることなく計測可能であった。続いて遺伝子治療実験に本モニタリング法を適応し、良好な再現性を得ると伴に、経時的な観察により屠殺されるマウスの数を減少させることが可能となった。
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