研究課題/領域番号 |
11671558
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
碓井 亞 広島大学, 医学部, 教授 (30034060)
|
研究分担者 |
牟田口 和昭 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (00314758)
三田 耕司 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (70304425)
|
キーワード | ヒト再燃前立腺癌 / IGF / IGFR / IGFBP |
研究概要 |
現在、治療不能な前立腺再燃癌の発生機序の解明を目的として、ヒト前立腺癌組織とヒト前立腺癌樹立細胞について研究を行った。ホルモン療法後のヒト前立腺癌組織におけるIGFシステム(IGF、IGFR[receptor]、IGFBP[binding protein])mRNA発現量を定量的PCR法によって測定し、臨床所見の4つのパラメーター(局所病期、病理組織学的分化度、リンパ節転移と血中PSA値)と比較検討した。前立腺癌組織にはIGFBP-1以外のIGFシステムの要素はすべて発現していた。このうちIGF IIとIGFBP-2のmRNA発現量の増加は局所病期の高い群、分化度の低い群、リンパ節転移陽性群、血中PSA高値の群の4つのパラメーターすべてに有意に相関していた。しかし、IGFIの発現量は局所病期が進行する症例は低値であった。一方、培養前立腺癌樹立細胞による検討では、IGFIの発現は男性ホルモン依存性の前立腺癌樹立細胞のみにみられ、逆にIGF IIの発現量は男性ホルモン依存性の前立腺癌樹立細胞に比較し男性ホルモン非依存性の癌樹立細胞に多いことを確認した。以上のことはホルモン療法後の前立腺癌において、IGFシステムのうちIGF IIとIGFBP-2が男性ホルモン非依存性の増殖機構に関与することを示唆し、さらにIGF IIとIGFBP-2の癌組織内での発現量の増加はホルモン療法後の前立腺癌患者の予後不良の因子であることを示唆する結果であった。今後は更に他の要素についても検討する予定である。
|