研究概要 |
根治的前立腺摘除術あるいは根治的膀胱摘除樹から得られた前立腺組織を用いて、前立腺間質細胞培養系はすでに確立しており、免疫組織化学的にalpha-actin陽性、myosin陰性、desmin陰性であることから、この培養細胞がmyofibroblastであることは確認されている。このmyofibroblastを用いて、以下の検討を行った。 ヒトTGF-beta 1,2,3を培養液中に加えると、myosinおよびdesmin陽性細胞が出現することが免疫組織化学的に認められた。この結果から、TGF-beta 1,2,3はmyofibroblastをsmooth muscleへと分化させる作用を有することが推測された。一方、TGF-beta 1,2,3のmyofibroblast増殖に関する影響をBrdUを用いて検討すると、TGF-beta 1,2,3は増殖を抑制することが認められた。 なお、培養myofibroblastからRNAを抽出し、TGF-beta receptor I and II,TGF-beta1,2,3自体の発現をRT-PCR法により検討すると、すべての発現が認められたことから、培養myofibroblastはTGF-beta receptorを有し、内因性TGF-betaを産生している可能性が示唆された。蛋白レベルではELISA法にてTGF-beta 1の産生が確認された。 以上から、培養ヒト前立腺由来myofibroblastに対するTGF-betaの作用が明らかとなった。今後、性ホルモンの影響、alpha 1 receptor発現への影響を検討し、前立腺肥大症発症病理の解明を行う予定である。
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