研究課題/領域番号 |
11671574
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
吉村 力勇 大阪市立大学, 医学部, 助手 (50285293)
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研究分担者 |
山本 啓介 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (70137230)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | nonmuscle myosin heavy chain B (SMemb) / rat kidney transplantation / isograft / acute renal rejection / Cyclosporine A (CsA) / allograft |
研究概要 |
近年、臓器移植後の拒絶反応においてvascular myosin heavy chain isoformの関与が報告されており、本実験では特にそのisoformの一つであるSMembの関連性を考えている。SMembは、これまで心臓移植動物モデルでは拒絶反応時に心筋間質や冠動脈内膜・中膜で発現が認められると報告されている。さらに種々の腎疾患でも、活性化されたメサンギウム細胞での発現も報告されている。腎移植の急性拒絶反応においても糸球体病変を認めることからメサンギウム細胞で発現することが考えられた。そこで本実験では以下のラット腎移植モデルを作成し拒絶反応とSMembの関連を検討した。なおallograftモデルはWistarラットをドナー、Lewisラットをレシピエントとし、IsograftモデルはLewisラットを用いた。 A群:未処置、B群:isograft、C群:allograft、D群:C群+シクロスポリン(CsA)(移植後0-10日目投与)、E群:C群+CsA(移植後0-5日目投与)、F群:C群+CsA(移植後5-10日目投与)。(CsA10mg/kg/day) A、B、C群は移植後1、3、5、7日目に屠殺し、D、E、F群は移植後5日目、10日目に屠殺し、各群の移植腎をSMembの抗体を用い免疫組織染色した。その結果、A、B群では急性拒絶反応所見は殆ど認められず、またSMembの発現も認めなかった。C群では術後5日目より病理学的に急性拒絶反応所見を認めたが、SMembの発現は3日目よりメサンギウム細胞で増強していた。E群では5日目まではSMembの発現は認められず、移植後10日目においてC群5日目相当の発現を認めた。F群においては、既に増強していたSMembの発現はCsAによる5日間の免疫抑制では完全に消失することなく残存した。以上の結果より、ラット腎移植モデルにおいて急性拒絶反応時にメサンギウム細胞が形質変換を起こすことをSMembの発現により証明した。また、病理組織所見出現が殆どみられない早期から発現の増強が認められることがら、SMembの検出は急性拒絶反応の早期診断に有用であると示唆され、急性拒絶反応の発生機序の解明および早期診断に有用であると考えられた。
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