研究概要 |
マウスsyngenic腎癌モデルを作成するために、BALB/cマウス由来腎癌細胞株Ren-Ca細胞にMN/CA9 cDNA(BCMGSNeo)をelectroporation法にて遺伝子導入した。MN/CA9導入RenCa細胞をクローニングし、MN抗原認識モノクロナール抗体mAbG250を用いて、フローサイトメトリーおよびMHAアッセイを用い、MN抗原強発現マウス腎癌細胞MN-RenCaを確立した。次にこのMN-RenCa細胞を用いてCDCC testを行い実際にMN抗原をターゲットとしてkillingされるかどうか確認した。結果は、clear cutなCDCCを示した。さらにimmune competent animalであるBALB/cマウス側腹皮下にMN-RenCa細胞10^6個を移植し、MN抗原発現マウス腎癌モデルを確立した。 まず、MN特異的療法として、MN抗原ペプチドによるCTL誘導についてin vitroにて検討した。合成ペプチドは、H-2K^dおよびHLA-A24両者に共通のanchor residueを有するものを作製した。CTL誘導は、BACB/cマウスを合成ペプチドにて免疫後、脾細胞とMN-RenCa細胞をco-cultureし,WST-1 assayにて判定した。その結果、抗原ペプチド刺激によりMN-RenCaに対するCTLが誘導された。以上のアッセイについてはRenCa細胞がMHA Class-1の発現率が低いため、高率に発現しているNIH3T3細胞を用いて全く同様の実験を行い、clear cutなCTL誘導を確認した。 さらに、動物モデルでのMN抗原特異的抗原ペプチド療法の有用性についてpilot studyを行った。5週齢雄性BALB/cマウスを3群(各6匹)に分け、1)不完全Freundアジュバント(IFA),2)抗原ペプチド100μg+IFA,3)MN抗原陽性細胞膜分画を用いて週2回計4回皮下に免疫した。最終免疫3日後にMN-RenCa細胞10^6個を対側、側腹皮下へ移植し、生着率、増殖率等について検討した。結果は、1)のコントロール群に比較し、2,3)群では著明に腫瘍増殖は抑制され、MN抗原ペプチド療法の効果が示唆された。
|