職業性尿路上皮癌のp53遺伝子突然変異を自然発生尿路上皮癌のそれと比較した。免疫染色では、p53過剰発現は自然発生尿路上皮癌4症例中3例にみられた。他方、職業性尿路上皮癌14症例では全例でp53過剰発現が認められた。 PCR-SSCP法では、自然発生尿路上皮癌4症例中1例でexon6のcodon205にAからGへの点突然変異がみとめられた。他方、職業性尿路上皮癌14症例では2例においてexon8のcodon279遺伝子にGからAへの点突然変異がみとめられた。 職業性尿路上皮癌において認められたexon8のcodon279遺伝子にGからAへの点突然変異が、多量の化学発癌物質曝露により発生する尿路上皮癌の特性か否かは今後症例を増やし明らかにしてゆきたい。
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