研究分担者 |
中島 淳 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (10167546)
大家 基嗣 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00213885)
小山 政史 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70276351)
村井 勝 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90101956)
矢崎 貴仁 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (80200484)
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研究概要 |
G207は、複製に必要なICP6遺伝子にlacZ insertionを含みribonucleotide reductaseを産生できないため、同酵素が豊富な腫瘍細胞内のみで複製が可能という特徴を持っている。昨年度まで、ヌードマウスを用いたin vivoの実験では背側皮下にKU19-19およびT24細胞を移植し、14日後に腫瘍重量を測定したところG207を投与した群では、対照群と比較して有意な増殖抑制効果を示した。またG207を投与して5日目の組織をX-galにより染色したところ、腫瘍内に広範なβ-galactosidaseの発現が見られた。 本年度は、変異単純ヘルペスウィルスであるG207の膀胱癌細胞に対する殺細胞効果を主にin vivoの正所性膀胱癌モデルにより観察した。膀胱を体外に露出し,失禁させて膀胱内腔を空虚にした後26G注射針を膀胱内に穿刺して1X10^6個/無血清培地50μlのKU19-19細胞を注入した。膀胱内注入後ヌードマウスは麻酔下で約1時間維持され,失禁しないようにした。膀胱内注入後4日目にてKU19-19細胞はヌードマウスの膀胱内に生着することが観察されたので、この時点で無作為にヌードマウスをコントロール群,G207群の各群4グループの計8グループ(n=5/group)に分類し,治療を行った。コントロール群は50μlのMock液を,G207治療群は1X10^7pfu/50μlを注入した。治療後5,10,15,20日目のすべての時点でG207治療群の平均膀胱重量がMock治療群に比べて有意に少なかった(p<0.005)。治療後20日目の平均膀胱重量はMock治療群が1386±203mgであるのに対してG207治療群は332±110mgであり,著明な抗腫瘍効果が認められた。
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