研究概要 |
妊娠糖尿病(GDM)におけるインスリン分泌動態の特徴および抵抗性の有無を明らかにし,臨床所見ならびに産後耐糖能異常の発症との関連を調べた.GDMと診断された妊婦22例を対象とし,同意を得て無作為に75gOGTT・IRI測定を施行し,耐糖能正常と診断された妊婦110例を対照(C群)とした.1)両群において,IRI,Insulin/Glucose(I/G),Insulinogenic Index(II=ΔIRI30′/ΔBS30′),AUC Insulin,AUC Glucoseなどについて比較した.2)C群のAUC Insulinを基準に,GDM群を3群(hyper-insulinemia>+1.5SD,normo-insulinemia,hypo-insulinemia<-1.5SD)に分類して,臨床所見(母体因子6,新生児因子4項目)を比較した.結果として,1)GDM群はC群に比べ,I/G(30′60′)およびIIが低値であった(p<0.0001).2)GDM群はhyper5例,normo15例,hypo2例に分類され,hyper群では他の2群に比べ10項目中非妊時BMIのみが高く(p<0.01),また,インスリン抵抗性(I/G高値)が認められた(p<0.05).normo群やhypo群では,LFDを33.3%,50.0%に認め,C群に比べて高率であった(p<0.05).hyper群では,その他の群に比べて妊娠中毒症が高率に観察された.GDMでインスリン分泌の低下がLFDの発症に関連し,インスリン抵抗性の上昇が妊娠中毒症の発症に関連することを初めて明かにした(Yamada et al.,Gynecol Obstet Invest,2001).
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