研究概要 |
[目的]GDMにおけるインスリン分泌動態・抵抗性の特徴を明らかにし,臨床・検査所見ならびに産後耐糖能異常発症との関連を検討した. [対象]GDM27例を対象とし,無作為に75g OGTT・IRI測定を施行し耐糖能正常と診断された妊婦110例を対照(C群)とした. [方法]1)両群において,IRI, Insulinogenic Index(II=ΔIRI30'/ΔBS30'),AUC insulin, AUC glucose, AUC insulin/AUC glucoseなどについて比較した.2)GDM群をインスリン分泌量により3群(Hyper->+1.5SD, Normo-, Hypo-insulinemia<-1.5SD)に分け,臨床・検査所見を比較した.3)産後3ヵ月で正常群と異常群(糖尿病型・境界型)に分け,妊娠中の検査・臨床所見との関連を調べた. [結果]1)GDM群ではIRI(30'),II, I/G(30',60'),AUC I/GがC群に比べて有意に低値であった.2)GDM群はHyper6例,Normo19例,Hypo2例に分類され,Hyper群ではC群およびNormo群に比べて,BMIが有意に高値であり,妊娠初期収縮期血圧が有意に高かった.Normo群ではC群に比べて,Heavy for G.A.の発症が有意に高率であった.3)異常群(7例)と正常群(9例)との間では,II, AUCI, AUCI/Gに有意差を認めた. [考察]GDMでは妊娠中のインスリン分泌動態・抵抗性を調べることによって,周産期異常や産後耐糖能異常の発症リスクを予測できる可能性がある.以上の知見を「妊娠糖尿病におけるインスリン分泌動態および抵抗性の検討」として第12回北海道周産期カンファランス(札幌,平成13年9月1日),および「GDMにおけるインスリン分泌動態,抵抗性と周産期異常,産後耐糖能異常との関連」として第17回日本糖尿病・妊娠学会,ワークショップ(東京,平成13年12月2日)で発表した.
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