研究課題/領域番号 |
11671599
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
久保田 俊郎 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (50126223)
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研究分担者 |
麻生 武志 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60093176)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | エンドセリン(ET) / 一酸化窒素(NO) / 黄体機能 / ヒト子宮内膜 / 顆粒膜細胞 / NO合成酵素 / ノーザンブロット法 / 免疫組織染色 |
研究概要 |
血管作動性生理活性物質の中で、血管収縮作用を有するエンドセリン(ET)と血管拡張作用を有する一酸化窒素(NO)が、黄体機能調節に及ぼす影響を知る目的で、卵巣・顆粒膜細胞の黄体化やヒト子宮内膜機能に及ぼすETやNOの効果について、分子生物学的・免疫組織学的に検討した。ブタ顆粒膜細胞を用いた実験により、卵胞期初期より顆粒膜細胞の増殖を促すETは、局所因子としてゴナドトロピンによる顆粒膜細胞の黄体化を抑制し、NOも主に未熟な卵胞のPGCの黄体化を抑制することが証明された。この時期には、活発に分泌される顆粒膜細胞からのエストラジオール(E2)と子宮内膜から分泌されるETの作用により、ヒト子宮内膜細胞は著しく増殖した。黄体期に入ると黄体から活発に分泌されるプロゲステロン(P)とE2の作用により子宮内膜腺は発達し、内膜細胞からのET産生は抑制されET受容体の発現は減弱したが、内膜組織内に増生する動静脈の血管内皮にはendothelial NO合成酵素(eNOS)の発現が顕著となることが、免疫組織学的に明らかとなった。従って黄体期には、卵巣からのP分泌亢進と子宮内膜におけるET産生の減少、NO/NOS系の機能亢進などの現象が一体となり、子宮内膜に増生した血管の拡張により灌流血液量が増加し、子宮内膜細胞はさらに分化・成熟に向かうと考えられた。一方、妊娠成立後の着床期子宮内環境においては、脱落膜には多量のNOが存在することが明らかとなり、その原因としてサイトカインの役割が注目された。以上の結果より、これら血管内皮由来の諸因子が卵巣と子宮内膜・脱落膜を互いに有機的に影響し合いながら、黄体機能を調節していることが証明された。
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