研究概要 |
婦人科癌の抗癌剤の中で、prodrugであるCPT-11とその活性化酵素carboxylesteraseによる各種癌細胞のCPT-11に対する感受性アップを、本研究の最終目標としている。 『carboxylesterase遺伝子のクローニングとキメラ遺伝子の作製』 Potterらの報告ではCPT-11の活性化においてRabbit carboxylesteraseはHuman carboxylesteraseに比べて約7-10倍効率が良い。RT-PCR法によりRabbit肝組織より1.7kb Rabbit carboxylesterase c-DNAを、ヒト白血病細胞株HEL細胞より1.7kb Human carboxylesterase c-DNAをクローニングし、次に両酵素のCPT-11活性化の違いをみるためキメラ遺伝子を3種類作製した。N末端より482アミノ酸はRabbit由来でそのC末端がHuman由来であるもの(CE2)、N末端より305アミノ酸はRabbit由来でそのC末端がHuman由来であるもの(CE3)、N末端より134アミノ酸はRabbit由来でそのC末端がHuman由来であるもの(CE4)の3種類である。これらの酵素発現は酵素活性およびfrag-tagによるWestern blot法により検討することができるようN末側にfrag-tag配列を有するpCMV-tag2a mammalian expression vectorに各遺伝子(計5種類)を挿入した。 『carboxylesterase遺伝子発現系の確立』 5種の遺伝子挿入発現ベクターをlipofectoamine法により導入stable transfectantを作製を試みた。しかし、G418選択陽性細胞のうcarboxylesterase活性陽性株は得られなかった。次に、293Tに対して5種の遺伝子挿入発現ベクターをtransientで導入し、40時間後のcarboxylesterase活性測定結果では、Rabbit carboxylesterase遺伝子およびキメラCE2でのみmock群と比較してそれぞれ5,7倍の活性上昇がみとめられた。 『誘導型発現ベクターによるcarboxylesterase遺伝子導入細胞の樹立』 carboxylesteraseのcell toxicityを考慮し、Rabbit carboxylesterase遺伝子をinducible発現ベクターであるTet-off systemによりSKOV3細胞株に導入、hygromycinにてスクリーニングを行い、独立した30個の選択陽性細胞を得た。このうちDOX-offによりcarboxylesteraseの高発現が誘導可能な2種類の卵巣癌細胞株(SKOV3-RaCE1:誘導前後比8倍,SKOV3-RaCE2:誘導前後比12倍)を樹立した。
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