研究課題/領域番号 |
11671620
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
伊澤 正郎 鳥取大学, 医学部, 助教授 (50032222)
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研究分担者 |
原田 省 鳥取大学, 医学部, 講師 (40218649)
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キーワード | ヒト顆粒膜細胞 / アポトーシス / アポトーシス関連遺伝子 / Caspase-9 / Apaf-1 / 不死化顆粒膜細胞株 |
研究概要 |
ヒト顆粒膜細胞のアポトーシス機構を解明することは、その生理的、病理的意義を理解する上で重要であるばかりでなく、体外受精時におけるアポトーシスを念頭に置いた新たな排卵誘発法の開発などへ発展する可能性がある。これまでに、私共はIVF患者由来顆粒膜細胞初代培養系をモデルシステムとして、主要なアポトーシス関連遺伝子群の発現を明らかにしたが、それらが実際に機能するかどうかは不明であった。本研究は、従来のIVF患者由来顆粒膜細胞初代培養系と平行して最近樹立された正常卵胞由来不死化顆粒膜細胞株を用い、新たに判明しつつあるアポトーシス関連遺伝子群発現の検証と顆粒膜細胞のアポトーシス誘導能の検討を目的とした。得られた研究成果は以下のとおりである。1)Apaf-1、Bax、Bcl-X_L、Caspase-1、Caspase-3、Caspase-8、DFF-45、DFF-40ならびにAifの発現を認めた。2)Caspase-9とCaspase-9 betaの発現を認めた。3)アクチノマイシンD、スタウロスポリンにより誘導されるアポトーシスは、Z-VAD-fmkにより部分的に抑制された。以上の結果は、顆粒膜細胞初代培養系と不死化顆粒膜細胞株にApaf-1を取り巻くアポトーシス実行遺伝子の発現を明らかにした。また、Caspase-9と共にアポトーシス誘導に対してドミナントネガティブ活性を有するCaspase-9 betaの発現が判明し、Apaf-1を介するアポトーシス実行調節機構解明の手掛かりが得られた。さらに、アクチノマイシンD、スタウロスポリンにより誘導されるアポトーシスがZ-VAD-fmkにより部分的に抑制されることから、少なくとも二つの機能するアポトーシスシグナル伝達経路がヒト顆粒膜細胞に存在することが明らかになった。不死化細胞株は、顆粒膜細胞のアポトーシス機構へアプローチする有力なモデルシステムとなる可能性がある。
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