研究概要 |
内分泌撹乱物質(Endocrine disrupting chemicals;EDCs)の作用機序を調べるため,COS-7 cellにエストロゲンレセプター-α,β(ER-α,β)発現vectorとreporter vectorをliposome-mediated transfection法を用いて導入し,様々なEDCsのER-α,βを介した転写活性に及ぼす影響を調べたところ,Bisphenol A,Phthalic Acid,Nonylphenolはnative ligandであるestradiolに比して約1/100から1/1000程度の転写活性誘導能を示した.これらEDCsについて,yeast two-hybrid systemを用いて核内レセプターの転写制御に重要なcoactivator蛋白(SRC-1,RIP140,SUG1)とER-α,βの蛋白-蛋白結合能を調べたところ,転写活性を誘導したligand依存性に検討したすべてのcoactivator蛋白と結合した.以上より,これらEDCsはnative ligandであるestradiolと同様のメカニズムでERを介した転写制御を行っていると考えられた.また,EDCsの標的受容体と考えられているER-α,βの発現をRT-PCR法を用いて調べたところ,周産期における重要臓器である子宮,卵巣,腟や胎盤で発現を認め,EDCsはERを介して影響を与える可能性が示唆された.ER-αおよびER-βの間で各臓器における発現やEDCsによる転写制御に一部相違を認め,更なる検討項目の一つと考えられた.
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