研究概要 |
1.妊娠ラットを用い、妊娠中の松果体メラトニン産生能動態を検討し、以下の成績を得た。 夜間の松果体のメラトニン産生は、妊娠15-20日目に増量し、産褥7日目に非妊娠ラットと同一レベルに復した。このメラトニン産生動態は血中プロゲステロン濃度と関連し、又、非妊娠ラットにプロゲステロン200□/dayを連日皮下投与することで,松果体メラトニン産生は有意に増加した。更に、妊娠中のメラトニン産生増加はHydroxyindole-O-methyltransferanse(HIOMT)活性の増加と強く関連し、プロゲステロン投与でもHIOMT活性の有意の増加が示された。従って、妊娠中には母体松果体のメラトニン産生量は増加し、産生されたメラトニンは、胎盤を速やかに移行し胎児に移行することから、妊娠末期に向けて、胎児のメラトニンの日内リズム発現に強く影響することが示唆された。 2.Free radicalのVasospastic作用に及ぼすmelatoninの影響を検討し、以下の成績を得た。 過酸化水素及び酸化LDLの投与により臍帯動脈血管トーヌスおよびセロトニンに収縮は増加することが示された。このVasospastic作用はマニトール及びmelatoninを前処置することで有意に抑制された。さらに、free radicalによるVasospastic作用は血管内皮でのnitric oxideの産生障害に基づくことも示された。一方、peroxynitriteによる血管弛緩作用に対してもmelatoninは有意に軽減することも示された。従って、free radical産生の亢進がみられる妊娠中毒症に対するmelatoninの抗酸化薬としての薬理学的作用が明らかとなった。
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