研究課題/領域番号 |
11671629
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
加藤 聖子 九州大学, 生体防御医学研究所, 講師 (10253527)
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研究分担者 |
和氣 徳夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50158606)
西田 純一 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (40264113)
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キーワード | 卵巣癌 / HGF / Ras / MAPK / PI3K / 運動能 / 浸潤能 |
研究概要 |
我々はこれまでに肝細胞増殖因子(HGF)が、Rasを介して卵巣癌細胞の運動・浸潤能を亢進することを明らかにした。今年度はHGF→Rasの下流で作用する因子として癌の浸潤・転移に関わる重要な因子の1つと考えられているMMPについて検討した。HGFを卵巣癌細胞株SKOV-3に添加して、Gelatin zymographyにより培養中のMMP2、9の活性を解析したところ、両者の活性化を認めた。 次にdominant negative Ras(DN Ras)蛋白を発現するアデノウイルスを感染させると、DN Rasの発現によりHGF刺激に伴うMMP2、9の活性が消失した。さらにMEK阻害剤(UO125)PI3K阻害剤(LY294002)を添加し、MMP2、9活性への影響を検討したところ、HGF刺激によるMMP2の活性化はPI3K阻害剤により抑制されたが、MEK阻害剤には影響されなかった。MMP9の活性化は両阻害剤により消失した。以上より卵巣癌細胞株においてHGFはRasを介してMMP2、9を活性化することが示され、MMP2の活性化には、PI3Kを介するシグナル伝達経路が、MMP9の活性化にはPI3K、MAPKの両方の経路が関与することが明らかとなった。 次にRas→MMPの経路が他の細胞にも存在するかを検討するため、ラット子宮内膜細胞株RENT4細胞に活性型[12Val]K-Ras、[61Leu]H-Rasを形質導入し、MMP2、9の活性を解析したところ、MMP2の活性化が認められた。卵巣癌細胞だけではなく、子宮内膜癌細胞においてもこの経路が作用していることが示された。
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