研究概要 |
子宮内膜細胞のアポトーシス誘導におけるRas蛋白(H-Ras、K-Ras)とその下流のシグナル伝達系の関与を解析した。 方法 (1)活性化型のH-Ras、K-Ras、活性化型Raf、PI3-kinase及び活性化型H-Rasのエフェクター結合領域に点突然変異をもつ変異体H12V35S(Rafの経路が機能)、H12V40C(PI3-Kの経路が機能)を用いた。それぞれのcDNAをラット子宮内膜細胞のRENT4細胞に形質導入しそれぞれの蛋白が発現している細胞株を樹立し、蛋白機能はRafはMAPK、PI3KはAktのリン酸化亢進で確認した。 (2)子宮内膜細胞のアポトーシスは血清飢餓により誘導し、In situ apoptosis detection法とFACSにおけるsubG1の出現で検出した。 (3)Rasの下流の経路を選択的に抑制するために、MEK阻害剤とPI3-K阻害剤を用いた。 成績 (1)アポトーシスはベクターのみを発現するmock細胞に比べて、活性化型K-Ras発現細胞(RK12V細胞)では増加,活性化型H-Ras発現細胞(RH61L細胞)では低下、活性化型Raf発現細胞では増加、活性化型PI3-K発現細胞では低下した。 (2)アポトーシスは、mock細胞とRK12V細胞ではMEK阻害剤で低下しPI3-K阻害剤で増加した。これに対し、RH61L細胞では両阻害剤により増加した。 (3)活性化型H-Rasのエフェクター変異体の発現はどちらもアポトーシスを抑制した。 結論 (1)子宮内膜細胞においてK-Rasはアポトーシスを誘導し、H-Rasは抑制する。 (2)活性化型K-Rasの下流のRafの経路はアポトーシスを誘導しPI3-Kの経路は抑制する。 (3)活性化型H-Rasの下流のRaf、PI3Kの経路は共にアポトーシスを抑制する。 (4)子宮内膜細胞のアポトーシス誘導においてRasを介するシグサル伝達系路間に作用の違いが存在する。
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