研究課題/領域番号 |
11671630
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
西田 純一 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (40264113)
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研究分担者 |
松田 貴雄 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (10304825)
加藤 聖子 九州大学, 生体防御医学研究所, 講師 (10253527)
加藤 秀則 九州大学, 生体防御医学研究所, 講師 (60214392)
和氣 徳夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50158606)
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キーワード | P53 / サイクリンG / DNA損傷 / NaB / 細胞周期 / アポトーシス / G2 / M期停止 / 婦人科癌 |
研究概要 |
1.ラット線維芽細胞Rat1Aを用い、ドキソルビシン(DOX)、シスプラチン(CDDP)、酪酸ナトリウム(NaB)による細胞周期の変化を観察した。DOX、CDDPはp53誘導に伴うサイクリンGの発現亢進を導いた。さらにサイクリンGの誘導はG2/M期停止を伴っており、アンチセンスオリゴDNA(AS)によるサイクリンG発現抑制により、G2/M期停止は解除された。従ってDNA損傷により、誘導されるp53はサイクリンGを介したG2/M期停止に作用すると考えられ、た。NaB処理によりp53とp21の誘導が観察されたが、サイクリンG誘導は観察されず、顕著なG1期停止が観察された。これらの結果はDOX、CDDPとNaBにより誘導されるp53蛋白のそれぞれの機能の相違に基づくと推測された。さらにASによるサイクリンG蛋白発現の抑制に伴い、DOX処理細胞でのG2/M期細胞数の割合の減少に加え、サブG1期細胞数の減少も観察された。サイクリンG高発現ではコントロール細胞に比べDOX、NaB、低血清処理に対するアポトーシス感受性が亢進していた。また、サイクリンG高発現細胞では、bax発現の増大が観察され、サイクリンGはbax発現の増大を介してアポトーシスを促進させると考えられた。 2.ヒト細胞におけるサイクリンGの機能。婦人科腫瘍細胞株での、サイクリンG発現を検討した。p53の変異の有無に関わらず、卵巣癌細胞株(11株)、子宮体癌細胞株(7株)のほとんどにサイクリンG過剰発現が観察された。また、DNAダメージによるサイクリンGの誘導は欠如していた。従って、婦人科癌において、サイクリンGの発現はp53による制御機構から逸脱しており、癌化過程に何らかの役割を担っている可能性が推定された。
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