研究課題/領域番号 |
11671636
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
寒河江 悟 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (00187056)
|
研究分担者 |
工藤 隆一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (70045409)
時野 隆至 札幌医科大学, 医学部, 教授 (40202197)
石岡 伸一 札幌医科大学, 医学部, 助手 (90305219)
|
キーワード | 卵巣癌 / 子宮内膜癌 / β-catenin遺伝子 / DNA microarray / Taxiol誘発apoptosis / bag-1 / hsp70 |
研究概要 |
本研究では婦人科癌での遺伝子異常の解明を行い、大腸癌のような多段階発癌の機構の解明を目的に、まず子宮内膜癌や卵巣癌症例の手術材料の収集とパラフィンブロックの収集を行った。過去の症例のDNAの解析をDEXT PATを用いてDNA抽出したうえで、子宮内膜癌でのβ-catenin遺伝子の変異およびその蛋白の発現をこれらの癌の前癌病変での遺伝子異常を検討した。さらに卵巣癌での薬剤耐性に関与する遺伝子群をDNA microarrayを用いて解析し、個々の薬剤における耐性の獲得に関与する遺伝子の特定を検討した。すなわち卵巣癌の新規抗癌剤としてTaxolあるいはTaxotereが使用され、その化学療法の有効性を治療前にそれぞれの薬剤ごとの予知が可能かをp53,BAX,Bcl-2などの遺伝子発現を検討することで、薬剤耐性の機序解明を目指した。 その結果、子宮内膜癌症例におけるβ-catenin変異の検査をさらに症例を増やし検討したところ、内膜増殖症の中でも単純増殖症ではβ-catenin変異は認められず、異型増殖症になって初めてβ-catenin変異が検出された。またその頻度は子宮内膜癌よりも低く、子宮内膜の癌化過程で何らかの関与が示唆された。今後はさらに詳細に最高病変が異型増殖症の症例と内膜癌に隣接する異型増殖症を比較して検討を行い、癌化過程での関与をさらなる詳細な検討を予定している。これらの遺伝子変異は卵巣癌での類内膜腺癌でも同様の減少が生じている可能性も示唆された。また卵巣癌株におけるTaxol誘発apoptosisの発現にはp53とは独立した経路とストレス反応に誘発された経路が重要な役目を担い、これらの抑制とbag-1やhsp70の過剰発現がTaxolの獲得耐性に重要であった。
|